日本経済新聞より

『政府税制調査会は3日、各省庁の2011年度税制改正要望に対する2次査定結果を公表した。
 法人税率引き下げなどの「主要事項」を除く、ほとんどの項目について判断を固めた。
 ただ国民新党が延長を求める証券優遇税制はこれまでの「認めない」との判定を見直し、主要事項として協議する方針に転換。
 経済界の要望が強いナフサ免税の恒久化についても結論を持ち越しており、税制改正大綱の取りまとめは難航しそうだ。

 政府税調は3日の全体会合で示した2次査定で全320項目に対する来年度改正での取り扱いを公表した。
 156項目について延長や創設を「認める」、17項目については「認めない」と判定。
 このほか「判断保留」が11件、「主要事項」として今後の政府税調で取り扱いを協議する項目は78件になった。

 上場株式などの配当や譲渡益にかかる税率(所得税と住民税の合計)を10%に軽減している証券優遇税制については、11年末で廃止する方向で検討してきた。
 しかし金融庁や連立与党の国民新党が延長を強く要望。
 3日の会合でも同党の亀井亜紀子政調会長が「亀井静香代表も相当こだわりがある。党首会談まで持っていくと言っている」と訴えた。

 国民新党は昨年12月、第2次補正予算の編成作業の最終盤で歳出額の上積みを政府に強く要求。
 当初想定していなかった建設国債の追加発行を実現させた経緯がある。
 政府税調では証券優遇税制の廃止による税収増を法人税率引き下げに充てる案も浮上するが、「国民新党が証券優遇税制の存続を政府に迫る」との見方もあり、税制改正の最終盤の議論の行方を不透明にしている。

 石油化学製品の原料になるナフサの免税措置の取り扱いも、2次査定では「判断保留」として結論を持ち越した。
 法人税率引き下げの財源として一時浮上したが、産業界に配慮して見送った経緯がある。
 民主党税制改正プロジェクトチームが6日にも政府税調に提出する来年度税制改正の「提言」でもナフサ免税の恒久化を要求する方針。
 交渉は大綱取りまとめ直前までもつれそうだ。

 2次査定では、年金収入400万円以下の年金受給者の確定申告を不要にする制度を導入することを決めた。
 年金生活者は確定申告で税金を精算する必要があり、負担になっているとの批判が出ていたために見直す。
 非営利組織(NPO)への寄付優遇税制として、信託した資産から生じる運用益について資産を最終的にNPOへ寄付する場合に税制優遇する「日本版プランドギビング」の導入も決まった。

 自民党政権時代の税制の「象徴」として民主党が批判してきた肉用牛の売却益への免税措置は、規模を縮小したうえで3年間延長することで決着した。
 一方、政府税調が検討していた中小企業向けの政策減税の対象から高所得の中小企業を外す案には慎重論が根強く、来年度以降に検討を先送りした』

文責:永嶌和彦